昨今のビジネス環境において、うつや無気力等の現象が急増しています。いわく何かとストレスが原因のようです。ストレス過多に起因して、メンタルダウンによる早期離職や社員自身の休職問題をはじめ、周囲への影響による組織単位でのモチベーション低下、場合によっては軽犯罪の発生、自殺リスク等の様々なリスクが生じます。
どのような職場であれ、多かれ少なかれストレスは必ず発生するわけですが、問題はストレスに耐え切れないことにあります。つまり、ストレス耐性が低いことによって、組織内でこれまで問題にならなかったような些細なことが、問題となってしまう時代になっているのです。
誰しも、仕事にやりがいをもって働きたいものです。多少のプレッシャーがあったとしても、発生するストレスを上手く消化していければ問題にはならないのですが、現実はそう容易くはありません。
社内にうつの人材が発生したとき、多くの場合、組織の経営者やマネジャークラスの方々は、何とかしてあげたいと思うようです。
最近では、EAPや復職支援をはじめとするメンタルヘルスマネジメント関連のサービスが日本国内でも充実してきており、メンタルヘルスに関するセーフティーネットも整備されてきているようです。
ところが、EAP等のメンタルヘルスケアやストレスマネジメントの仕組みを導入しても、うつの発生率は減るどころか、むしろ増えていることも少なくないようです。休職を終えて復職しても、しばらくするとまたうつ状態になるといったケースが、あまりにも多いようです。制度は整備したが、効果が出ていないのが実態のようです。
特に、中小企業ではうつの社員を抱えていくだけの余力がない会社が大半で、企業経営にとっては深刻な問題で、多くの経営者の悩みとなっているようです。メンタルダウンした社員を何とかしてあげたいと考える一方で、時間的にも金銭的にも余裕がないのが多くの企業の実態のようです。
余裕がない経営環境下において、企業側の人材に対する方針は、ひとつの方向性に向かっています。メンタルヘルスケアの環境構築よりも、ストレス耐性の高い人材を採用して、むしろ強い組織体制を作りたいと考える企業が圧倒的に増えています。
ところが、ストレス耐性の高い人材を採用しようとしても、なかなか簡単にはいかないようです。大丈夫だろうと思って採用した人材が入社するとすぐにダウンしてしまう現象が多発しているようです。
面接でしっかりチェックしたつもりが、予想が外れる。ストレスに強い人材かどうかを、どのようにして見極めればよいかの判断基準やアセスメントの方法がわからないのが問題のようです。
ここに、採用選考・採用面接でのストレス耐性の見極め方の確立が重要なテーマとなってきています。
難しい理論はさておき、ストレスの問題が発生する人の表面的に見える代表的な特徴を挙げると次のような傾向が見られます。
上記の条件に当てはまれば、即ストレスに弱いと断定できるわけではありませんが、複数の条件が該当すると、かなりの確率でストレス耐性が低いことが予測できます。
ストレス耐性の低い人は、平均的に姿勢が悪くなる傾向がみられますので一つの目安にはなります。
但し、面接の場面では、さすがに緊張して望んでいるので、姿勢の良し悪しを確認することは難しいでしょう。
従って、採用選考では、次のようすると効果的に人材を観察し判断することが出来ます。
この程度の判断基準だけで、ストレス耐性を完全に見極めることが出来る訳ではありませんが、大雑把には簡単にストレス耐性を判断する指標になります。少なくともこの条件に該当してしますようであれば、リスクを犯してまで採用する必要は無く、採用を見合わせることができます。
ストレス耐性の見極めに圧迫面接を行うケースが見られますが、実際のところはあまり有効な手段とはいえません。
そもそも就職がかかった面接では、誰しも緊張して当然です。そこにプレッシャーを強くかけた面接を行えば、特にストレスに弱くない人でも、緊張してトチるケースもありますので、余計に判断しづらくなります。選考判断する上で、信頼できる情報を得ることは難しくなります。
むしろ、緊張が解けた状態の方が、人本来の姿が表出しやすいといえます。できる限り和ませた環境をつくって面接を実施する方が、効果的といえます。待合室での観察をしたりするのは、このためです。
しかし、上記の条件をクリアするストレス耐性の低い人材も存在します。また面接などで多くの時間を割いての観察は、あまり効率が良いとはいえません。
そもそも、わずかな面接の時間の中で、人材のストレス耐性の高低を見極めるのは容易なことではありません。
そこで、さらに効率よく精度高くストレス耐性を見分けるためには、適性検査の活用が有効です。
人材採用市場には様々な適性検査や適性診断、性格検査などがツールやサービスとして提供されていますが、残念ながらモノによって精度はまちまちです。臨床(実験)的に、十分なボリュームの被験者に心理分析を行って心理テストを作成したものでなければ、信頼できるデータを得ることは出来ません。
心理分析の視点の一例をあげると、
被験者に、
「自分の気持ちを人にわかって欲しいですか?」
と質問すると、ストレスに弱い人は、多くの場合「わかって欲しい」と思うようです。
一方で、「わかって欲しいとは思わない」と強く、反意を示す場合も、実は心の裏返しであることが多いのです。
ストレスに強い人は、実に面白い反応をします。多くの場合、「考えたことがないからわからない」ようです。 「気にもしたことがない」といったところでしょうか。
ある意味、外的な刺激に鈍感で繊細さに欠ける傾向がありますが、これがストレス耐性の高さともいえるのでしょう。
この例では、出来る限り簡単に理解して頂けるようにデフォルメして表現していますが、この他にも、ストレスに強い人と弱い人とで、任意の質問に対して特徴的な様々な”反応”があるのです。
十分な健常な精神状態の人から精神疾患者まで、広く被験者をとり臨床したデータをもとにした適性検査を活用すれば、面接とあわせて効果的な採用選考ができるようになるでしょう。
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